卒前・卒後MD-Phdコース内容・特徴

事業概要と運営体制

事業概要

群馬大学では,基礎医学への興味を喚起するため,入学直後から基礎研究の体験実習や基礎医学研究室配属を行ってきました。また,放課後型MD-PhDコースを設置し,研究室での指導に加え,大学院講義の一部も受講可能としてきました。加えて,卒後研修と並行した大学院履修を可能としています。その結果,平成24年度のMD-PhDコース在籍者は31名,平成25年度は100名,平成26年度は92名,平成27年度は76名,平成28年度は70名にのぼります。

平成24年8月,この試みをさらに発展させ,卒前・卒後一貫MD-PhDコースを新設しました。履修希望者に選抜試験を行い,合格すれば一貫コース履修者(プレ履修者)となります。受講した大学院講義・演習は,大学院入学後に大学院単位として認定します。卒後は臨床研修と並行して研究を継続し,学位取得後には特任助教(仮称)として採用されます。特に法医解剖医志望者は,認定医資格取得を目指します。本プログラムを通じて基礎医学研究医および法医解剖医の養成を図ります。

運営体制

本事業は,医学部教務委員会医学科部会および大学院医学系研究科医科学専攻教務委員会が連携して運営し,研究科長(医学科長)が統括します。また,解剖学,生理学,生化学,薬理学,細菌学・ウィルス学・寄生虫学,衛生学・公衆衛生学,病理学,法医学など基礎系各分野,および放射線診断学分野とAiセンターの協力を得て運営します。

学生の選抜は,従来型MD-PhDコースの選択者から一貫コース希望者を募り,医学科2年次~6年次に大学院入学試験と同等の基準で選抜試験を行います。

プレ履修者の教育は,専攻先の研究室における研究指導と,医学教育研究支援センターが運営実施する共通科目に大別されます。共通科目のうち,基礎連続講義と医学基礎技術実習および専門科目の特別講義および大学院チュートリアル演習を学部在学中に選択することができます。

コース内容・特徴

群馬大学における基礎医学研究者・教育者,法医解剖医養成のためのコース

コース図

卒前・卒後一貫MD-PhDコースの教育内容

名称
卒前・卒後一貫MD-PhDコース
修業期間
医学部時代のプレ履修期間は1年から5年です。大学院修業期間は3年か4年です。
履修対象者
群馬大学医学部医学科2年次生~6年次生(プレ履修者)
大学院医学系研究科医科学専攻博士課程大学院生(シームレスに大学院に入学した医師)
養成する専門分野
解剖学,生理学,生化学,薬理学,細菌学・ウィルス学・寄生虫学,衛生学・公衆衛生学,病理学,法医学,病理診断学,病態病理学など
養成する人材像
  1. 今後の基礎医学研究を担う研究医
  2. 医学科および医療系学部における基礎医学教育を担当する医師
  3. リサーチマインドを持った法医解剖医
期待される成果・効果
  1. 医学科で体系的医学教育を受けた研究医のプロジェクト参画により,基礎医学の研究成果を臨床に応用し,疾病の病因・病態の解析を行い,新たな治療法の開発につなげるような研究が容易となります。
  2. 医学部や他の医療系学部における基礎医学教育では,各科目の連携や,将来どう役に立つのか理解し,実体験を基に教育に携われる医師が教育を行うことは重要かつ必要です。
  3. 高齢化社会による死亡者数増加や犯罪見逃し防止の観点からの法医解剖のニーズや,死因調査方法改善や裁判員裁判のための死後画像検査のニーズは増加しており,法医解剖医養成は急務です。
修了要件・履修方法
医学科在学中に修得した単位を含めて30単位以上(内訳:共通科目14単位以上,専門科目16単位以上)を修得し,博士論文の審査および最終試験に合格することを大学院医学系研究科の修了要件とします。
教育内容の特色等
希望者に対して医学科2年次~6年次に大学院入学試験と同等の基準で選抜試験を行い,合格後に基礎系研究室にて研究指導を受ける一貫コースプレ履修者とします。医学科在学中に受講した大学院講義・演習は,大学院入学後に大学院教務委員会の審議を経て,正規の大学院単位として認定します。卒後は臨床研修と並行して研究を継続し,学位取得後は基礎系研究室において特任助教(仮称)として採用します。法医解剖医志望者に対しては,研究活動に加え法医解剖研修や死後画像診断教育を実施し,法医認定医資格取得も目指します。
指導体制
運営は,医学部教務委員会医学科部会および大学院医学系研究科医科学専攻教務委員会が相互の連携により行います。また,実際の研究指導は大学院医学系研究科の基礎医系各分野、および生体調節研究所の各分野において行われます。
学生の選抜は,従来のMD-PhDコース選択者から一貫コース希望者を募り,選抜試験を行います。
学生の教育は,専攻先の研究室における研究指導と,大学院教育研究支援センターが運営する共通科目に大別されます。共通科目のうち,基礎連続講義と医学基礎技術実習,および専門科目の特別講義および大学院チュートリアル演習を学部在学中に先行履修可能とします。
履修科目等
  1. 医学科在学中に先行履修することができる大学院科目

    <共通科目>
    ①基礎連続講義
    ②医学基礎技術実習
    <専門科目>
    ①特別講義
    ②大学院チュートリアル演習

  2. 医学科卒業後の履修科目
    医学科在学中に履修できなかった大学院科目

従来型MD-PhDコースとの違い

2つのMD-PhDコースについて比較します。

表をスクロールしてご覧ください

  従来のMD-PhDコース 卒前・卒後一貫コース
趣旨 医学部医学科の学生にMDの取得を目指す教育を行うとともに、基礎医学や社会医学に関する専門的な教育・研究の指導を長期間系統的に行い、かつPhDの早期取得を促進することを目的とします。 基礎医学教育・研究医及び法医解剖医の養成を図ることを目的とします。
対象 医学科前年度までの成績が優秀と認められ、かつ教育・研究者を志望する学生 従来型MD-PhDコースの学生のうち、基礎医学教育・研究医及び法医解剖医を志望する者
履修生の種類 特になし 【プレ履修者】
プレ履修者とは、本学医学部医学科在学のMD-PhDコースの学生で、選抜外国語試験を合格した者
【正規履修者】
正規履修者とは、プレ履修者が医学科を卒業後、引き続き群馬大学大学院医学系研究科医科学専攻に入学し、基礎系の分野または生体調節研究所の協力講座に置いて研究指導を受ける者
定員 若干名 1学年30名程度 1学年2名程度
選抜 大学院医学系研究科医科学専攻基礎系の教授の推薦により、大学院医学系研究科医科学専攻教務委員会が行います。 一貫プレ履修者の選抜は、卒前・卒後一貫MD-PhDコース運営小委員会が行います。  
大学院入学前の教育・研究 医学科2年次から6年次にわたって、ウイークエンドセミナー等により、基礎医学や社会医学の専門的な教育を系統的に受けるとともに、研究指導を受けることができます。 医学科2年次から6年次にわたって、ウイークエンドセミナー等により、基礎医学(法医解剖学を含む)や社会医学の専門的な教育を系統的に受けるとともに、研究指導を受けることができます。  
大学院の共通科目の一部を受講することができ、大学院生と同一基準で評価を受けて合格した場合は、大学院入学時にその科目を履修済みの科目として認定します。また研究指導を受けた研究成果は、博士論文(thesis形式)の一部に用いることができます。 大学院の共通科目・専門科目の一部を受講することができ、大学院生と同一基準で評価を受けて合格した場合は、大学院入学時にその科目を履修済みの科目として認定します。また、研究指導を受けた研究成果は、博士論文(thesis形式)の一部に用いることができます。  
コースの学生の認定 医学科6年次修了時に、それまでの学業成績・研究実績等により、その期間が大学院課程における1年間に相当する旨の認定を推薦教授からの評価に基づき、医科学専攻教務委員会が行います。 MD-PhD運営小委員会が医学科卒業時に行います。 MD-PhD運営小委員会が大学院医学系研究科修了時に行います。
医学科専攻3学年 修了の認定 MD-PhDコースの学生は、大学院課程を実質3年間で修了することができます。   正規履修者は、大学院課程を実質3年間で修了することができます。
事前指導の取りやめ 事前指導を受けることを取り辞めたい学生は、推薦した教授の承認を得た上で医科学専攻教務委員会にその旨を申し出なければなりません。また、医科学専攻教務委員会は、MD-PhDコースの学生の学業成績等が不良の場合は当該学生の推薦教授を通じ事前指導を取りやめることができます。 事前指導を受けることを取り辞めたい学生は運営小委員会にその旨申し出なければなりません。また、運営小委員会は、プレ履修者の学業成績等が不良の場合は、事前指導を取りやめることができます。  
指導教授の変更   指導教授の変更を希望する場合は運営小委員会の議を経て許可できます。
奨学金制度 無し 無し 有り